コレステロールを下げる薬を安易に飲むのを見直してみましょう
さて、コレステロールは必須であり、大きく3つの理由があります。 まず、生命活動の根本である生体膜の重要な成分であることです。 コレステロールが不足すると、細胞膜の流動性が失われ、細胞機能が失われ、神経機能が悪くなったり、血管、組織がもろくなります。すると、脳出血が起こりやすくなったり、免疫力が低下したり、がん、神経障害やうつ病、自殺などの増加につながります。 次に、コレステロールは、私たちが体内で生み出す大事な5種類のホルモンの原料として大切なものです。5種類の重要なホルモンとは、副腎で作られる抗ストレスホルモンである副腎皮質ホルモン、体内の塩分を調節している電解質ホルモン、男性ホルモン、2種類の女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンです。 コレステロールが大切な最後の理由は、胆汁酸の原料になることです。 胆汁そのものには消化酵素は含まれていないのですが、胆汁酸は消化に欠かせない消化液の成分であり、不足により栄養不足、エネルギー不足に陥りやすくなります。さらに、胆汁酸はコレステロールが結晶化するのを防いでいるので、胆汁酸が不足すると胆石ができやすくなるのです。 このようにコレステロールは私たちの体になくてはならない必須の物質です。 体内のコレステロールの7割以上は私たち自身の体内(主に肝臓)で生産され、食べ物から摂取するコレステロールは3割弱です。 ですから、コレステロールが高いことを怖れて、コレステロールの少ない食品を摂ると、体内の脂肪やブドウ糖などの材料からコレステロールを作って補います。 以前、卵はコレステロールが多いからひかえるように言われていましたが、これも科学的な根拠がないことが分り、食事のコレステロールは影響しないことが分っています。 極端な食事は別として、過度にコレステロールを気にしないで下さい。 そして、単に数値が高いからとコレステロールを下げる薬を飲み続けるのはやめましょう。 (参)「薬のやめ方」事典、薬の9割はやめられる