スタッフ公式ブログ

がんを理解しよう

ピンクリボン運動は正しく運動しましょう!

10月になり急に涼しくなりました。

さて、10月は乳がんの啓発ピンクリボン月間とのことですが、このピンクリボン運動は、1980年代、アメリカの乳がんで亡くなられた患者さん家族が「このような悲劇が繰り返されないように」との願いを込めて作ったリボンからスタートした乳がんの啓蒙運動です。

ところが、この切なる願いとは裏腹に、今行われている啓蒙運動は、早期発見・早期治療という表向きごもっともですが、本心は医療ビジネス化しています。

というのも、早期発見で行われる「マンモ検診」では、乳がん発見数は増えるのですが、乳がん死亡を減らすことは出来ないのです。つまり、しっかりしたエビデンスのもと「無効」なのです。

そして、早期治療で早くから乳房を摘出することにもなります。

また、乳がんのタイプの中には、数パーセントほど遺伝的に乳がんになりやすい体質を受けついている場合があります。乳がんと関連がある遺伝子は数多くありますが、主なBRCA遺伝子は二本鎖切断された大きなDNAの傷を修復して、細胞ががん化することを抑える働きがあります。この遺伝子に病的な変異があり、働きが失われていると正常な修復が妨げられ、乳がんや卵巣がんになりやすくなると考えられているわけです。

DNAに二本鎖切断を引き起こす主なものは、X線やγ線などの電離放射線です。

このような遺伝子の修復に関わる遺伝子が働きにくくなっている人に、早期発見と称して毎年のようにレントゲン検査やマンモ検診をするとどうなるでしょうか。これらの検査・検診こそX線被曝であり、放射線被曝です。

ただでさえ、BRCA遺伝子に変異を持たない場合であっても、検査時に浴びるX線によって、発がん率が何倍にも高まることが多く報告されています。

また、超音波検査でもがんを早く見つけて手術することのメリットを示すエビデンスは全くありません。

いずれにせよ、乳がんに対して早期発見・早期治療は有害無益です。エビデンスを無視して医療ビジネスにまい進しているだけの恐ろしい運動です。

ですから、ピンクリボン運動のきっかけになった、乳がんで亡くなられた患者さん家族が「このような悲劇が繰り返されないように」という純粋な願いに共感して祈ることや、栄養や食事のとり方の啓蒙が正しい運動のように思います。

 

(参)やってはいけない健診事典

エビデンスにより、米国ではPSA検診を推奨していません!

PSA検診は、前立腺の正常細胞で作られるタンパク質であるPSA(前立腺特異抗原)ががん化することで血中値が上昇することがあり、腫瘍マーカーとしてがん発見のためのツールとしているものです。

このPSA検診が普及し始めた2000年代頃から、前立腺がんがたくさん見つかるようになりました。1996年の罹患者数が14,077人から2019年には94,748人と7倍近く膨れ上がっています。

その一方で、前立腺がんによる死亡者数は、1995年の5399人から2020年に12759人と2倍程度です。

通常、がんになった人は一定の割合で亡くなります。前立腺がん検診が普及していなかった頃は、何らかの症状があって前立腺がんが見つかった人の半数ほどが死亡していました。

ところが現在、前立腺がんで死亡する人は、前立腺がんと診断された人の7分の1以下しかいません。いくら治療成績が向上したといっても、常識的には考えられないほどのギャップです。

つまり、このような異様な状況が生まれたのは、PSA検査が普及したからです。

これによって、これまで見つかっていなかった前立腺がんがたくさん見つかるようになったため、前立腺がんが増えたのです。

前立腺がんには、生きている間には見つからなかったけれど、死亡後に解剖してみて、初めて見つかるがん、つまり“ラテントがん(潜在的ながん)”が2割ほど見つかるといわれています。前立腺がんは、それがあったとしても生涯気づかずに、別の病気で亡くなる人が多い病気なのです。

それは、前立腺がんは進行がとてもゆっくりな、いわゆる「のんびりがん」が多いからです。こうしたがんは、見つける必要はないのですが、PSA検診はラテントがんをわざわざ見つけてしまう、いわば「寝た子を起こす」ようなことをしているのです。

事実、米国で行われた臨床試験では、非検診群に比べてPSA検診群で前立腺がんの死亡率が減少する効果は確認されませんでした。

ただ、EUでの臨床試験では、確かにPSA検診群での前立腺がんの死亡率が下がっていましたが、データをよく見ると、前立腺がんの死亡者を1人減らすのに、1410人がPSA検診を受ける必要があるという結果でした。一方で、「異常あり」と診断されて、針を刺される生検を受ける人が339人、そして前立腺がんの治療を受けた人が48人もいたのです。48人治療して、1人しか死亡を減らせず、残りの47人の中には、体を痛めつけられて命を縮めてしまった人もいたはずです。

また、PSA検診が普及しなかった英国での前立腺がんの発見率はわずかしか上昇しませんが、PSA検診が盛んだった米国では、前立腺がんは多数発見されたにもかかわらず、前立腺がんによる死亡率やその推移は、英国のそれとぴったり重なりました。

これは、早期発見・早期治療の理論によればあり得ない事態です。

以上のような結果などを受けて、米国予防医学専門委員会は2012年に「年齢に関わらず、前立腺がん検診を実施しないことを推奨する」という勧告を出しています。デメリットが非常に大きいからこそ、PSA検診を推奨しないという結論を出したのです。

また、日本でも、国立がん研究センターを中心とする厚労省の研究班が作成したガイドラインで、前立腺がんのPSA検診については推奨しないとする「グレードⅠ」に格付けをしています。

つまり、PSA検診は死亡率を下げる効果が明確でなく、過剰診断の不利益があるので、お勧めは出来ないとの国の公式見解なのです。

ですから、エビデンスにより必要性を推奨されていないPSA検診はやらないようにしましょう。

 

(参)やってはいけない健診事典、がん検診を信じるな

ミトコンドリアが起こすアポトーシスはがん治療のカギです!

私たち人間を含む高等動物は、酸素を使わず糖質を分解していく解糖系と、もう一つ、大量にATPを作り出すクエン酸回路、電子伝達系を有するミトコンドリア系のシステムです。

しかし、現在の人間の活動量を担保し、素早い動作が出来るのはミトコンドリアのおかげです。

ミトコンドリアは、太古に共生関係が成り立った異種生物であり、人間の遺伝子とは別個の遺伝子を持っています。このミトコンドリアは、一つの細胞内に数百から数千個存在し、占める体積は細胞のおよそ20%、体重の約1割にもなります。

ほとんど全ての細胞内に存在し、エネルギーを多く必要とする心筋、肝臓、筋肉、神経の細胞内に多く存在しています。

ミトコンドリアの一番の大きな働きは、エネルギーを生み出すことで、酸素呼吸によって、エネルギー通貨であるATPを産生します。

また別の働きは、小胞体との連携によるオートファジーの実行です。オートファジーとは、細胞内の余計なものを細胞自体が取り除き、さらに処理したタンパク質の材料を回収、リサイクルするシステムです。

そして、3つ目の働きが、アポトーシスの制御です。アポトーシスとは、活性酸素などでDNAが傷つき、修理が追いつかないとき、自殺して悪影響を残さないようにするメカニズムです。

このアポトーシスの制御の可否が、がん治療のカギになっています。

体内環境の悪化などにより、ミトコンドリアの働きが悪くなると、細胞は自らプログラムを変更して遺伝子改変を模索して細胞を変化させていきます。それが、がん細胞です。

一方、ミトコンドリアが正常であれば、がん化を防ぎます。

実験では、核を抜き出した正常細胞とがん細胞を細胞融合させると、がん細胞は腫瘍組織を作る能力が無くなることが報告されています。

すなわち、がん細胞に移入された正常細胞のミトコンドリアが、がん細胞の悪性の性質(腫瘍組織を作る能力)を抑制することができるということです。また、細胞の核の遺伝子変異はがん化の原因でなく、結果ということです。

ちなみに、今から90年以上も前に、オットー・ワールブルグ博士はミトコンドリア発がん説を提唱しています。

このように、ミトコンドリアを増やし、元気にさせると(酸化的リン酸化の亢進)、がん細胞の増殖能や浸潤能は低下し、がんの進展が阻止されることが明らかになっています。

つまり、ミトコンドリアは私たちの命を握っているのです。

プラズマ療法では、抗がん剤や放射線を使ってがん細胞を叩くのと違って、直接、弱ったミトコンドリアを元気にして、がんのアポトーシスを促して行きます。ミトコンドリアを元気にして、シトクロムCの放出を促しアポトーシスを発動させます。

体内環境の改善、ミトコンドリアの若返りにぜひ、プラズマ療法をお試しください。

がんの転移はいつから?

がんはいつ転移するのでしょうか?

多くの人は「早期がんのうちは転移しないか、転移しにくい」と考えているようです。がん検診を呼びかけるのにも「がんは早期発見・早期治療が大切」が決まり文句になっていますね。

しかし「早期がん」といっても、最低でも直径1センチはあり、たった1センチのがんの中には、およそ10億個のがん細胞がつまっています。そこまで育つには5~20年かかり、そこまで育っても転移していないなら、それは「がん細胞に転移する能力がない」証拠でしょう。

ところが研究では、転移するがんは生まれたとたん、1ミリ未満から転移し始めることが分かっています。逆に、転移能力のないがんは、治療しないで放っておいても転移できません。

結局、「がんは早く治療しないと転移してしまう」というのは誤解です。

転移する能力のあるがんは、見つけたときには転移していて、手術すると暴れ出してしまいます。早めに見つけて抗がん剤をしても、寿命を縮めるだけになるのです。

近藤医師は、多くの研究データを読み込み、「早期発見は死亡リスクを増やし、手術をすると寿命を縮めてしまう」と明かしてくれました。極論に聞こえますが、「人間ドックは救命装置ではなく、寿命短縮装置であり、ハッキリ言えば“人殺し装置”です」と、用心するよう伝えています。

事実、医療費はうなぎ上りで大金が使われているにも関わらず、がんの死亡者も増加したままです。医療資源が不足すると、死亡者が減るという現象もあり、医療ビジネスだと揶揄されるわけです。

がんの早期発見・早期治療の方法が間違いなのは、もう分かっているわけです。がんを早期発見しても、三大療法をすることではなく、ストレスによる心の問題や食生活などの生活習慣を整えることをまずしっかり取り組むことが大切です。せっかく早期発見したなら、心の持ち方や細胞環境を整えることを第一にやってみましょう。時に、がんが正常化することにもなるでしょう。

 

(参)眠っているがんを起こしてはいけない

分子標的薬「イレッサ」からがん医療を考えてみました!

かつては“夢の治療薬”と呼ばれた肺がん治療薬のイレッサは、多くの副作用被害を出し、裁判も起こされています。

近年における“精密医療”は、個々の患者の細胞を遺伝子レベルで分析して、それに見合った薬のみを投与して治療を行うものですが、その中でこの分子標的薬は花形的存在です。がんが増殖するために必要な様々な過程に標的とする分子があるので、細分化されて来ています。

しかし、人の身体は機械のように単純ではありません。

標的とすべき分子は、正常な他の部位にも存在しているために、それらにも悪影響が及びます。例えば、イレッサ(ゲフィチニブ)であれば、ターゲットのEGFRチロシンキナーゼは皮膚にも存在するので、皮膚障害が起きます。専門用語では、on-target toxicityと言います。

「on-target toxicityの重症度が高いほど、抗腫瘍効果が高いことが知られている」とがんのテキストには書いてありますが、当然です。がんに効くほどの強さであれば、正常細胞も当然ダメージは深刻になります。平気でこれを治療というのは、考え方がおかしくなっています。

抗がん剤は、効かないのは世界の常識で、造がん剤でもあります。過大な副作用があるにもかかわらず、使用禁止としないどころか、その一つ一つの副作用に対して、都度そこだけ真面目に対処しようとしています。

そして、イレッサも効果があるようでも1年ほどで薬剤耐性が出てきます。薬剤耐性の機構もいくつかは判明されていますが、がんの立場であれば当然です。

がんも様々な戦略を駆使して生き残りを試みている姿なのです。ある一つの変異手段に切り替えるのではなく、多くのがん細胞が様々な手法を試みているのです。

そのことを理解せずに、主要な変異に対してのみの標的薬を投与する行為はいかがなものでしょうか。

手段をはき違えて、高額で高度な医薬品を次から次へと使い続けたという症例集めのようにしか思えません。

そして、正常細胞はダメージを積み重ねて行き、母体がやられてしまうのです。

まさに、現在の精密医療は枝葉末節的なことに終始し続けてテクニックを競い合っているようにしか見えません。

その前に、きちんと細胞環境を整えるように、食事や睡眠といった生活習慣を整えて行くことを主軸にして行くべきでしょう。がんになった大本をおろそかにしていては、根本的な治癒は不可能です。

各種細胞から分泌されている”マイクロRNA”は細胞間の伝令です!

体の各細胞同士のコミュニケーションツールにはさまざまな物質があり、細胞間を飛び交っています。それらには、エクソソーム(Exosome;膜小胞(エキソソームとも呼ぶ))やインターロイキン、Wnt(ウイント)などのタンパク質があり、その中で特にがんとの関連で注目されている“マイクロRNA”についてお伝えします。

このマイクロRNAは、細胞から分泌されるエクソソームに含まれています。エクソソームは、がん細胞から分泌される情報伝達物質で、その中にはマイクロRNA以外に核酸、各種酵素、ヒートショックプロテインなどの各種タンパク質などを内臓しています。

がんは遺伝子変異が蓄積されて無秩序に増殖を起こしたものではなく、計画的に増殖、浸潤、転移を起こし、生き残り戦略を展開しているのが研究で解明されていて、その戦略物質の一つにマイクロRNAがあります。

マイクロRNAは、一般に20~25mer(マー;1merは1塩基対)の長さを持つ一本鎖のRNA(リボ核酸)であり、その種類は2000以上が確認されています。マイクロRNAの指標はmRNA(メッセンジャーRNA)であり、その遺伝子発現を調節しています。つまり、遺伝子の本体であるDNAに書かれているタンパク質の情報がmRNAに転写され、それが核から細胞質に出て行って、そのmRNAにマイクロRNAが結合することによって、タンパク質への転写が抑制されるようになっています。

また、マイクロRNAの設計図がコードされているのは、DNAの中で一般のタンパク質の設計図がコードされていない部分であり、以前は“ジャンクDNA”と呼ばれていた領域で、生命の奥深さを本当に感じます。

そして、マイクロRNAは遺伝子の転写後の発現調節に関与していて、DNAのメチル化やヒストンのメチル化やアセチル化による転写前の発現調節も含めて、エピジェネティックにタンパク質の発現を調節しています。このような多重の調節機能も生命の営みの深遠さと言えるでしょう。

さて、このマイクロRNAはこれまでの研究により、特定のがん細胞により発現量が増加しているものと、減少しているものがあることが分かっています。そして、ただ一つのマイクロRNAが標的にしているmRNAの種類はかなり多く、例えばmiR520dでは、なんと8000種類以上と推定されています。ヒトの遺伝子の総数が21,787個しかないことを考え合わせると、一つのmRNAを複数のマイクロRNAで制御し合って調節している様は、つくづく生命現象の複雑さと奥深さに驚嘆せざるを得ません。

そして、このmiR520dはマウスでの導入実験で、がん細胞を正常幹細胞に変換するということをしています。

このことは、がん幹細胞の遺伝子は正常であり、計画的にがん細胞を生み出していたことを示唆しています。さらに、がん細胞は環境改善により正常になることをも示唆するものです。

がんは細胞環境の悪化によるものであり、その改善によりがんは正常にもどるのです。

がんになるとショックで辛い事ですが、心と生活のアンバランスや生活習慣、人間関係など、いろいろな意味でずれているということを知らせてくれているメッセージなのです。

がんの砦”がんニッチ”の防御力を知りましょう!

がんは決して遺伝子変異が積み重なって出来ているわけではありません。

むしろがんは、生活習慣の乱れ、悪い食習慣、ストレスをかかえた状態などの自身の生活の乱れによる体内環境の悪化、細胞環境の悪化によって、自らがん化を選んで浄化しようとする姿です。幹細胞はがん幹細胞となり、がん幹細胞は自らの複製とがん細胞を多く生み出し始めます。女王バチが働きバチをたくさん産んで集団を大きくして行くようなものです。悪化した環境を浄化するために、自ら様々に遺伝子変異を模索して行くようになります。

その中で、がん幹細胞は様々な生存戦略を作り出します。具体的には、悪化した環境を改善するために解毒機構をパワーアップするために、解毒酵素を増産したり、毒物を細胞外に排出するための細胞膜のポンプを増加するなどします。また、オートファジーを強化して必要な材料を速やかに提供する体制を構築します。

当然、自分の体の細胞なので、細胞表面にはMHCクラスⅠ分子などを提示するなどして免疫細胞の攻撃から逃れます。各種のエキソソームなどの便りを分泌しながら免疫を抑制したりして、がん細胞の増殖に有利な条件を整えて行きます。

そして、さらに大きくなるにつれて(平均的にはがん組織の直径が5mm以上になると)酸素や栄養を供給する独自の血管をがん組織の中に作り出します。ちなみに、この新生血管は内皮細胞が分厚く、少し荒めに配列したがん専用の血管です。新生血管の内皮細胞は、がんの局所の血管内皮細胞以外に、がん細胞自体が分化したり、骨髄から新たに供給されたりして作られます。

このようにして成長してきたがん細胞の塊は、砦のようにがん細胞を始め、各細胞が配置された構造物を構築しています。これが“がん微小環境”であり、別名“がんニッチ”と呼ばれる構造物で、内部にはがん幹細胞と、それによって生み出されたがん細胞、さらに好中球、マクロファージ、リンパ球、繊維芽細胞などが一緒になって塊を形成しています。そして、この微小環境全体をバリアのように細胞外マトリックス(細胞外で形成されている繊維状あるいは網目状の構造体で細胞制御も行っている)で包んでいます。

このがんニッチの中の免疫細胞は、がん細胞を殺すこともなく、むしろ逆にがん細胞の生存や育成に協力しています。代謝も生存しやすいようにする中で、ケトン体を利用できるようにしたり、二酸化炭素を利用するフマル酸呼吸も取り入れたりしています。

さて、がん幹細胞にはもともと抗がん剤が効かないことは知られていました。がんニッチは様々な方法で抗がん剤や放射線からがん幹細胞を守っています。

具体的には、がんニッチの内部の血流を適度に制限して、内部の抗がん剤濃度が上がらないようにします。休眠状態になって抗がん剤を取り込まないようにしたり、放射線からの障害を少なくします。障害されたDNAの修復能力と高めます。抗がん剤を細胞外に排出したり、抗がん剤がターゲットの代謝系を変更したり、抗がん剤そのものの構造を化学的に変化させるなどして薬剤耐性を高めます。アポトーシス(自滅)のシステムを抑えるようにします。

このようにがんニッチは、遺伝子持つの過去の記憶を総動員して、人智を上回る手段を次から次へと繰り出して、生存のための戦略を強化して行きます。

つまり、化学療法はがん幹細胞の生命力を一段と高めるだけなのです。

繰り返しますが、がんは細胞環境の悪化により自らがん化したもので、環境が悪くてそのままでは生き延びられないからこそ、周囲にバリアを設け、その内部だけでも浄化し、住みやすい環境を作り出したものです。風の谷のナウシカに例えると、腐海が汚染された土壌を飲み込んで浄化していく姿です。焼いても無駄で、殺しきれない。きれいな空気と水こそ、腐海の植物が毒を出さずにおとなしくなります。

体内環境に影響を与える食事などをしっかりと見直して改善すると、がんも正常細胞に戻ったり、おとなしくなり共生できます。

このことを理解して、エビデンスに基づいて生活を見直し、自然療法など代替療法を上手く取り入れている欧米では、がんの罹患率や死亡者は減少に転じています。

がんは決して不治の病ではありません。きちんとがんを理解して対処して行きましょう。

杏林予防医学研究所アカデミー10周年記念講座を受けて来ました!

先日の日曜日に杏林予防医学研究所アカデミーの10周年記念講座が開催されました。

今回の記念講座のテーマが「がん」ということで、がんのサポートを掲げて実践している以上、学んでスキルアップを図りたいとの思いで参加しました。私がここで講座を受けて講師の認定を頂いてから5年程経ちますが、益々講義内容もボリューミーになり、幅広く、かつ深い学びをおさらいして来ました。

やはり、がんは遺伝子変異が積み重なってなるのではないことや、現代医療がいかにおかしいかが納得出来ました。

すでに数々の研究で、がんが遺伝子変異の蓄積でないことが証明されているにも関わらず、遺伝子変異が積み重なった不治の病としていることです。そして、現在盛んに行われているガイドラインに則った抗がん剤・放射線・手術という3大療法をファーストチョイスすべきでないことも理解出来ました。

がんは、自身の細胞が間違った食事を含めた生活習慣によって細胞環境が悪化し、自ら選択してがん細胞になり大きくなったものなのです。ですから間違いを正せば、つまり正しい生活習慣を取り戻せば、がんはもとの正常な細胞に戻りますし、悪さをせずに共存も可能なのです。

1960年代以前では、発がん率も低く、しかも発がんしていても共存していました。

ところが、現代ではがん検診や人間ドッグに行けばがんから身を守ってくれるかのような誇大広告で集客し、早期発見してガイドラインに則って治療して行きます。これでは「生活習慣が間違っていますよ」という大きな気づきをもたらしてくれた折角のがんという大病の真意に気づかないばかりか、自身で病に向き合っていく改善の場も奪ってしまっています。

そして、がん検診によって発がんを促されて犠牲者が増加することも分かっているので、世界では日本のように熱心に検診が行われていません。

また、夢の新薬との期待で登場したオプシーボ(ニボルマブ)は実験室発祥の空論によるもので、副作用もひどく、また承認後の比較試験データでは従来の抗がん剤よりも効果のないことを理解しました。

そもそも抗がん剤はがんを治療する効果はほんのわずかです。むしろ長期間使用することで、正常細胞のダメージも大きくなって来ますし、いったんがんが縮小しても再度凶暴化して大きくなって来ます。ですから、3カ月とかの短期間で、がんがどのくらい小さくなったのかくらいの判定を用いているのです。

その一方で、抗がん剤以上の働きが、多くの野菜にはあるのです。

アメリカで発表されたがん抑制効果のある食品、デザイナーフーズピラミッドの最上位にあるニンニク、キャベツ、大豆、せり科植物などには様々な機序でがんを抑える効果があります。がんをアポトーシスに導いたり、がんの増殖を抑えたり、解毒や抗酸化に関わる酵素の発現量を増やして抗がん力を増強したり、がん幹細胞の維持・増殖・転移を抑制したりと、抗がん剤顔負けの能力です。しかも、食品なので安全性は抜群です。

その一方で、牛乳や肉、塩分、アルコールはがんの発症や増殖に働きます。

ですから、本当に食事の選択は大切なので、ぜひ理解して食を正して行きましょう。

その他、多くの学びや出会いもあり、所長の山田豊文先生には感謝しかありませんでした。

私も、山田先生に出会い、今までやって来たことに対しての自信が得られたことと、新たな情報を頂いて成長して来られました。

また、8月、9月と学びに行きますが、皆様も一生の宝になる情報なので、ご興味ある方はぜひ参加して見て下さい。

がん細胞の指令物質”エクソソーム”の働き

細胞はさまざまな物質(サイトカインやホルモン、アポトーシス小体など)を分泌して、お互いの情報のやり取りをしながら生体機能を維持しています。

体内環境の悪化によってガン化した細胞も同様に、さまざまな物質を分泌しています。

がん細胞の成長に必要な栄養を届ける血管を新生するための物質や免疫細胞から攻撃されないよう逃れる仕組み作りの物質など、とても興味深いものです。

その中で、今回はがん細胞が分泌する「エクソソーム(又はエキソソームexosome)」という顆粒についてお伝えします。

 

このエクソソームという顆粒は、正常細胞でも多く分泌していますが、がん細胞においてもがんの増殖や転移、再発において重要な役割を果たすことが明らかになってきています。この顆粒は、直径30~100nmの膜小胞です。

この顆粒の中にさまざまなタンパク質やHSP(ヒートショックプロテイン)、mRNA(メッセンジャーRNA)、miRNA(マイクロRNA)といった物質が含まれています。

このmRNAは、数百種類以上あり、血液中を流れていて、遺伝子の働きを調節し、細胞の働きを変えてしまう作用があります。

例えば、がん細胞がエクソソームを使って血液脳関門を突破する方法は、まるでコンピュータウイルスのようです。血液脳関門を構成する内皮細胞は、エクソソームをがん細胞から来たものと知らずに受け取り、カプセルを開封してしまいます。すると、エクソソームの中に潜んでいたmRNAが内皮細胞の中に侵入して、遺伝子の働きを変えることで、血液脳関門のバリアを緩めさせてしまうのです。そして、緩んだ部分からがん細胞は脳内に入り込み、転移することになります。

 

さて、がんは悪い食事やその他生活習慣などによる体内環境の悪化によって、私たちの細胞が自らガン化したものです。

その大本のがん幹細胞が、エクソソームやタンパク質を使って周囲の正常細胞に遺伝子変異を起こさせることによってがん細胞に変身させます。決して、正常な細胞に遺伝子変異が蓄積したからガン化したのではなく、エクソソームやタンパク質を受け取ったことによってガン化したのです。

 

ですから、がん細胞はエクソソームを使って生存しやすい環境に変えるために、細胞外基質の分泌を促進するように働きかける。免疫細胞に対しては、がん細胞を攻撃することのないように働きかける。血管内皮細胞に対しては、腫瘍組織内に血管を張り巡らせるように働きかける。このように、さまざまな働きかけを行ってがん細胞は成長していくのです。

ですから、まずは体内環境を改善するような生活習慣を取り戻していくよう心がけてみましょう。そして、自らの細胞なので自身を愛して行きましょう。

 

「がん遺伝子」は怖いもの?

私たちの体の設計図である遺伝子は、1950年代、ワトソンとクリックが二重らせん構造を発見してから飛躍的に解明が進んできました。

ちなみに、遺伝子は、生体の特徴(遺伝情報)を指定するDNA領域であり、ヒトには約2万種類の遺伝子があります。

がんは“遺伝子の異常を原因とする疾患である”と、現代医学では教えています。

そして、がんは遺伝子異常が一つだけでは不十分です。複数の遺伝子異常が必要です。

このとき、特に、がん細胞の発生や異常増殖などの原因となる遺伝子を“がん関連遺伝子”といい、多くのがん関連遺伝子が見つかってきました。その機能から“がん遺伝子”と“がん抑制遺伝子”とに大きく分けられています。

がん遺伝子は、細胞増殖を促進する機能を担っていて、増殖因子や細胞周期の進行などに関わるタンパク質を生成します。過剰に活性化をきたす遺伝子異常を起こしたときに発がんにつながります。

一方、がん抑制遺伝子は、細胞増殖を抑制する機能を担っていて、細胞周期の停止や、DNA修復、アポトーシス誘導などに関わるタンパク質を生成します。不活化をきたす遺伝子異常を起こすと発がんにつながります。

このがん遺伝子とがん抑制遺伝子は、車のアクセルとブレーキに例えることができ、アクセルであるがん遺伝子とブレーキであるがん抑制遺伝子が正常に機能することで、車の速度(細胞増殖速度)が適正な範囲に調整されています。

ここで、がん関連遺伝子は、名前に「がん」がついているので、がん遺伝子やがん抑制遺伝子があれば、即がんになるというように考えがちですが、そうではありません。私たちの遺伝子には、もともとがん遺伝子とがん抑制遺伝子があり、それが正常に機能しているのです。

そして、私たちの食事や生活習慣の悪化によって細胞環境が悪化したことで、正常に働いていたがん関連遺伝子に異常をきたし、結果、それらの生み出す異常なタンパク質ががんを発生させるのです。

ですから、「がん遺伝子」は“悪者”でなく、怖くはないのです。

特に、がん抑制遺伝子の方は、普段から傷ついたDNAの修復などに役立っています。特に、有名ながん抑制遺伝子の「p53(TP53)」は、主に転写因子として、数百ある多くの標的遺伝子の転写を活性化することで発がん・がん進展を抑制する多種多様な機構に関わっています。DNA損傷などの緊急時に活性化して、細胞周期停止、DNA修復、アポトーシス、血管新生抑制など多数の機能を持っています。

細胞環境に優しい生活習慣を身に付けて行き、がん遺伝子が真面目に働ける環境整備こそ、真の健康と予防・治療になると思っています。

 

(参)がんがみえる