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「抗がん剤で余命1年」の本当の意味

エビデンスをもとにがん治療に真摯に行ってきた故近藤誠医師の「眠っているがんを起こしてはいけない」より、“余命1年の本当の意味”をお伝えします。

がんは遺伝子変異が積み重なってなったという間違った仮説をもとに行っている西洋医学において、固形がんでは、さらに効かない抗がん剤を投与するという治療?によって寿命を縮めていることを知ることが出来ました。

厚労省が言うように、抗がん剤は効かないのは常識で、医師の言う「効く」というのは、患者さんが希望を抱く「治る」という意味ではありません。

「抗がん剤が効く」というのは、半年ほどのある期間でがんが小さくなる可能性があるという意味です。抗がん剤が効かない“がん幹細胞”の周りの働きバチのような遺伝子変異を模索しているさまざまながん細胞には、抗がん剤により死滅するものはあります。しかし、死滅するがん細胞以上に、正常な細胞も死滅したりしてダメージを蓄積させて行きます。免疫も落ち、体力も奪われて行き、抗がん剤を続けられなくなったときには、がん細胞は優位に盛り返して命を奪いに来ます。

ですから、近藤医師は“抗がん剤で余命が縮む”と言っています。

かつては近藤医師も効くと信じて、乳がんの抗がん剤治療を他のどこよりも多く、一生懸命やっていました。患者さんの寿命が延びると思い込んでいたからです。

ところが、元気だった患者さんが急死することも経験する中で、あらためて医学論文を集めてみると、乳がんステージ4では、比較試験もなければ、延命効果を示すデータが世界のどこにもなかったのです。

そこで、抗がん剤がなかった時代のデータと比べてみると、その当時の余命は2.7年で、抗がん剤を使うようになると、余命は2年になり、逆に短縮しています。しかも、抗がん剤を始めた途端に亡くなる人が出始めています。

そして抗がん剤の開発が進み、最初の抗がん剤が効かなければ次はこれ、その次はこれ、というように抗がん剤をどんどん「乗り換え」をしていく時代になると、余命はさらに短く、わずか1年になりました。

つまり、医師たちが言う「抗がん剤で余命1年」というのはその通りです。しかし、治療しない方が長生きしているわけです。しかも、現代より医療も栄養も劣っていたため、全身状態が不良で、ホスピスに入院している患者たちが対象でした。

そして、生存曲線を見てみると、抗がん剤治療を受けない場合、肺や肝臓などの臓器にある転移が大きくなって機能不全を起こすまでは死なないので、生存率100%の期間は、抗がん剤を使う場合よりは長いことが分かります。なかには、転移が自然に消えてしまう人もいるはずです。

現在の日本の抗がん剤は、世界の85%も使う状態です。ある意味、効かない抗がん剤を世界一消費させられているのです。そして、早死にです。国立がん研究センターの、抗がん剤治療後のデータでは、緩和ケアが必要と言われてから、半数が100日以内に亡くなっています。2.7年どころではありません抗がん剤の毒性で生命力を吸い取られてしまい、抗がん剤をやめても長く生きられなくなってしまったのです。

抗がん剤を中心とした日本のガイドラインが、早く、エビデンスを基にして行って欲しいと思っています。

 

(参)眠っているがんを起こしてはいけない