ドラマ「ドクターホワイト」の浜辺美波が誤診を正した”ビタミンB12欠乏症”
先日、女優浜辺美波主演の“ドクターホワイト”というドラマが始まった。不思議な出現の仕方で引き込まれてしまったが、その中で浜辺美波が緊急オペに入ろうとした脳血管疾患患者の誤診を見抜いた場面があった。めまいがあり、疲れやすく、手足の神経障害でものを落とすなどで、既往症の脳血管疾患が悪化したと診断(誤診)され、急いでオペとなったのでした。その原因を見抜き、それが何と“ビタミンB12欠乏症”でした。
体内でさまざまな代謝を助けているビタミンですが、「しっかりとる食事・栄養こそ健康の基本」という自然療法の立場から見直してみました。
ビタミンB群は水溶性のビタミンで、体内の代謝のさまざまな過程で補酵素として働いています。特に、ビタミンB12はタンパク質の合成や葉酸と協力して核酸(DNA、RNA)の合成に働いています。
ビタミンB12の吸収は、胃液のプロテアーゼにより食品中から遊離された後、唾液由来のRタンパク質と結合して小腸上部に移行し、すい臓酵素により再び遊離して胃からの内因子と結合し、回腸粘膜の受容体から吸収されます。
要するに、ビタミンB12の吸収には、しっかり咀嚼して食べることと消化力のある健全な胃が必要です。
また、ビタミンB12は魚介類や肉類等の動物性食品に多く含まれている(但し、海苔にもビタミンB12が含まれています)ので、ドラマの患者のようにビーガンだと欠乏してしまいますし、さらに胃粘膜にピロリ菌を飼っていて炎症を起こし、胃粘膜が萎縮していると消化力も低下して、ビタミンB12の吸収は低下してしまうのです。
そして、ビタミンB12が欠乏すると核酸代謝の異常により貧血を起こしたり、神経細胞の脂肪酸代謝異常により知覚異常、末梢神経痛、うつなどの症状を引き起こします。
具体的には、以下にまとめます。
(欠乏早期におこりうるもの)
虚弱・疲れやすい・憂うつ・不機嫌・精神不安・めまい・睡眠障害・舌の潰瘍・吐き気・食欲不振・腰痛・物忘れ・手足のしびれや無感覚・手足のひりひりする痛み
(欠乏がひどくなると)
無感動・気分の動揺・怒りっぽい・頭痛・発育や細胞再生の障害・脱毛・青白い舌・味覚異常・低胃酸・消化不良・下痢・便秘・下肢の脱力・アリのはうような感じ・腱反射の減少・回復不能の神経障害・見当識欠如・学習能力の低下・妄想・幻聴・老人性精神病・うつ病・視神経の萎縮・ぼやけて見える・話がしにくい・息切れ・体重減少・感染しやすい・生理不順・無月経・あざができやすい・手足の運動マヒなど
症状だけ見ると、他のビタミン不足でも起きうる症状もあり、また、他の疾患でも良くある症状なので、すぐにビタミンB12欠乏症とは分かりません。しかし、ビーガンだったことや、萎縮性胃炎があることなどから考えて対処していけば、自ずとビタミンB12を含む食事・栄養に改善され、症状緩和になるでしょう。
「汝の食を薬とせよ」。健康の基本の食事・栄養はとても大切ですね。