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満たされることよりも、満たされないことが重要

貝原益軒が81歳の時(1710年)に著した和俗童子訓(わぞくどうじくん)に、次のような一節がある。 「古語では、『およそ小児を健康にするには、三分の飢えと寒さとを負わされるべきである』と云われている。三分とは十のうちの三分を言う。その心は、少しは腹を空かせ、少しだけ冷やすのが良い、ということである。古人の、子どもを健康に保つ良法である。世俗の人はこれを知らずに、子どもに母乳や食事を多く与えて飽きさせ、甘い物、果物を多く食べさせるために、気がふさがって、必ず脾胃を傷めて病気になる。子どもの不慮の死は、その多くはこれが原因である。」 健康や治療の秘訣は細胞に好ましいストレスを与えることです。 細胞に好ましいストレッサーを浴びさせ、適度なストレスを生じさせることです。 好ましいストレッサーとは、それは自然界から受ける自然な種類の、しかも自然な強度のストレッサーです。 細胞を取り巻く環境の温度、酸素濃度、二酸化炭素濃度、浸透圧、pHなど、様々なものが狭い範囲で揺れ動いていますが、それらが一定範囲から少し外れたとき、細胞に適度なストレスが生じます。 それが、適度な空腹と自然の寒さということです。 現代の親は「子どもたちのお腹が空かないように…」「喜んで沢山食べてくれるものを作らなければ…」「寒くならないようにこれを着せよう…」などと、正反対なことをやっています。だからこそ、すぐに風邪をひいてしまうような不健康な子ども達が激増しているのです。
ここで自然の大きなストレスにチャレンジし続けている、いわゆる自己修行を続けている有名なイタリア登山家ラインハルト・メスナーのエピソードをご紹介します。 彼は、ヒマラヤ山脈の8000m峰14座全てに、酸素ボンベなしで完全登頂するという偉業を成し遂げた史上初の人物です。 一般的にはとても生きて戻って来られないような極めて過酷な状況の中、彼はまさに「超能力」を発揮したといえるわけですが、その偉業の裏側で彼が行っていたのが、次のような「修行」です。 ●標高1000mの凍結した山の斜面を裸足で駆け上がる ●肉類を食べない ●朝に冷水のシャワーを浴びる ●複式呼吸(瞑想)を毎日行う ●週に1回は断食を行う   メスナーは自らの偉業について、次のように語っています。 「私は、人より超人的な体力や耐久力を持っているというわけではない。ただ、生命力を発揮するための方法を、人よりよく知っていたと思う。生命力は、自分が所有しているというようなものではなく、私たちの周囲に無限に存在し、渦巻いているものである。それをスムーズに体の中に取り入れ、そしてまた、スムーズに外に出していく。それがうまく調和したとき、遠征が成功する。するとまた、大きな喜びと共に、エネルギーが体に戻ってくる。人間はいわば、生命力の通り道のようなものである。」 メスナーの自然への謙虚な向き合い方に感動を覚えると同時に、人間の可能性のすばらしさに気付かざるを得ません。
「腹八分に医者いらず、腹六分で老いを忘れ、腹四分で神に近づく」と言われますが、時にファスティングを行い、冷水を浴び、朝日を浴びながら、そして自然を愛でながら散歩してみてはいかがでしょうか? (参)死ぬまで元気に生きるための七つの習慣

[ライブラリー]2019.09.24