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ビタミンB1のお話し

ビタミンB群は、いずれも生体内において、補酵素として機能して、様々な代謝を助けています。補酵素とは、一般的に酵素に結合して働く低分子量の有機化合物を指し、別名として「コエンザイム」と呼ばれています。

今回お伝えするビタミンB1は、世界で初めて日本で発見されたビタミンで、1910年に鈴木梅太郎氏が脚気を予防する因子として米ぬかから抽出し、1912年にオリザニンと命名しました。

ビタミンB1は生体内でリン酸基が付加されてチアミン二リン酸に変換され、各種酵素の補酵素として、血糖(ブドウ糖)や脂質からのエネルギー産生に働いたり、リン酸基がもう一つ結合したチアミン三リン酸として、神経伝達に関与しています。

ビタミンB1欠乏症としては、心不全、末梢神経障害(ウェルニッケ脳症:意識障害、精神障害)等があります。心不全によって下肢がむくみ、神経障害によって下肢のしびれが起き、これを「脚気」と呼びます。心臓や筋肉はATPを大量に必要とする臓器で、ATP欠乏症状は多くの臓器で起こりますが、心臓は特に強い症状が現れるのです。心臓が悪くなると、動悸や下腿の浮腫に続いて、呼吸困難などの心不全の症状が出て来て、死亡例もまれではありません。

繰り返しますが、ビタミンB1は特にエネルギー通貨であるATPを作り出す過程において重要な働きを担っているので、不足するとエネルギー不足の症状である、疲れやすい、だるい、憂うつ、物忘れ、イライラ、食欲不振、吐き気などが現れます。また、神経伝達機能の低下では、四肢のしびれや痛み、麻痺が現れます。ビタミンB1がないと、クエン酸回路が回らずに、乳酸になってしまうのです。

現在、ビタミンB1欠乏の一番の原因は、甘いもののとり過ぎ(糖質過多)で、また、アルコール愛飲者では欠乏のリスクが高くなります。

そして、アルツハイマー型認知症や糖尿病患者さんでは、ビタミンB1の血中濃度の低下が見られています。

ビタミンB1は、全粒穀物、オート麦、雑穀、野菜、種子、豚肉、ビール酵母などに含まれています。

ちなみに、にんにくにはビタミンB1のチアミンとチアミンの吸収を助けてくれるアリシンが結合したアリチアミンの形で存在しています。このアリチアミンはビタミンB1の吸収利用には非常に有用な物質ですが、にんにく臭があります。そこでにんにく臭がしないように合成してできたのが、栄養剤のアリナミンに配合されているフルスルチアミンです。

さて、プラズマ療法で疲労が摂りづらい方は、ぜひ、栄養の取り方やビタミンの摂取も考えていきましょう。

 

[栄養]2022.02.16