スタッフ公式ブログ

治癒に導くがんのサイモントン療法の「ビリーフワーク」、不自然思考を書き換えてみよう!

私たちのこころと体は密接に関わっています。 日々起こるストレスは、さまざまな身体的な症状や病を引き起こしています。がんのような大きな疾病も例外ではありません。 それらに対して何とか対処しようと思っても、必ずといってよいほど現れてくるのが、不安や恐怖、焦燥感、自責の念といったネガティブな感情です。 しかし、このような状況においても、自分自身でもっとも効果的に対処できるのが、この「感情的ストレス」です。
では、私たちはいったい何によって悩まされているのでしょうか。 得てして私たちは、何かが起きたとき、その出来事に対して悩まされると考えがちですが、実際には出来事そのものではなく、その出来事をどのようにとらえたかによって悩まされています。 つまり、出来事そのものに直接狼狽するのではなく、その出来事を私たちがどのように解釈したかによって、狼狽したり悲しむといった感情が湧き起こってくるのです。 その出来事への自分流の解釈や判断には慣れ親しんだ思考パターンがあります。 これは、認知療法の創始者であるアメリカの精神科医アローン・ベック氏の分類によるものから、認知のゆがみの代表的なパターンをいくつかご紹介します。 ・0or100、黒or白のように両極端思考 ・次もそうなるに違いないという悲観的思い込み ・悪い側面だけを選択的に取り入れる ・「自分の欠点・短所・ミス・罪悪」といった否定的な部分の過大評価(拡大解釈) ・「絶対に~しなければならない」とする強迫的な義務感(責任感) ・「悪い結果・悲惨な出来事・不幸な展開」の原因を全て、自分に求めてしまう その都度、自分自身を振り返り、上記のような自身のとらえ方の癖に気付き、とらえ方を前向きにすることで、自分の状態を健全にコントロールできるようになって行きます。 こうやって、感情的なストレスを緩和することによって肉体的な痛みが取れたり、副作用をコントロールできたりするケースは、決して稀なことではありません。
さて、安定したよい感情を生み出し、身体によい影響を与える考え方を「健全思考」と定義します。それに対して、絶望感、罪悪感、非難、自責の念、敗北感などの否定的な感情を作り出し、身体に害を与える考え方を「不健全思考」と定義します。 「不健全思考」を「健全思考」に変化させていくことにより、感情のコントロールが可能になります。の作業を「ビリーフワーク」といい、もちろん、これには多くのエネルギーが必要であり、とても困難なことかもしれませんが、これらの感情が体内の自己治癒力を左右する力を持っていることを考えると、困難を乗り越えて健全な解釈に変化させ、それらを自分の内に宿らせる意味と必要性はおおいにあると言えるでしょう。 健全なイメージは、私たちに活力と幸福感と心の安定をもたらすだけでなく、肉体的なレベルで大きな効果を与えてくれます。たとえ困難であっても、その安心感や幸福感、または活力を得る権利が自分にはあるということを知っておいてください。
ここで、がんを例にとって見ましょう。 多くの患者さんは、「がんと診断された」という「出来事」から、絶望や不安などのネガティブな感情を持ちます。そうした感情は、「がん=死」といった不健全思考から生まれるのです。 どういうことかと言いますと、「がん=死」が事実であれば、世の中にがんからの生還者は存在していないはずです。ですから、この解釈は、事実に基づいていないわけです。 事実は、「がんで死ぬ人もいれば、死なない人もいる」。そして、「変化を起こし、健康を手に入れた人が世の中にたくさんいるように、私にも健康を手に入れることは可能である」ということです。このように、バランスのとれた前向きな思考が健全思考なのです。 ところで、感情をコントロールするというと、「落ち込んではいけない」「否定的な感情を持ってはいけない」と、やみくもに否定的な感情に蓋をしてしまうことがあり、無理やり明るく装ってしまう人がいますが、これは逆効果です。否定的な感情を持つのは人間として当然のことで、健全です。素直に、否定的な感情を受け入れましょう。 ただし、長期にそれを引きずり続けないことです。慢性的に否定的な感情を持ち続けると、体調にも悪影響を及ぼします。そのときには、きちんと問題に向かい合い、不健全思考を健全思考に変えていく必要があります。 つらい感情に直面しているときこそ、自分自身の考え方を変えていく絶好のチャンスです。つらい感情に直面しているときは、その感情を作り出している、不健全なものの考え方=不健全思考が浮き彫りとなります。このようなとき、「考えてはいけない」と思う代わりに、「いったいどのような思いにとらわれているのだろう」と自分自身を省みると、簡単に不健全思考を見つけ出すことができます。 どんなことを考えているために、その感情が湧き起こったのかを見つめてみましょう。 手術や治療の前になかなか眠れないのであれば、もしかしたら「手術はうまくいかない」とか「治療は私をどんどん蝕んでいく」などといった不健全思考が妨げになっているかもしれません。それらと向き合い、変えていくことが大切なのです。 ここで否定的な考え方を変えていこうとするときに気をつけなければいけないのは、それとは真逆の積極思考(ポジティブ・シンキング)になってしまわないようにするということです。ポジティブ・シンキングというのは、不健全思考よりはましかもしれませんが、あまりにも現実離れして無理がある考え方だと、結果的に逆効果となってしまいます。 現実や自然に則した前向きな考え方=健全思考として、がんであれば、「がんを消すことは可能である」という決して断定的ではない、可能性という立場から、地に足のついた姿勢をはぐくみましょう。 解釈や考え方も自然の法則ど同様、バランスが大切なのです。   (参)サイモントン療法