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現役医師が提唱「医療はもっと身を切る改革に挑むべき」

来年の診療報酬改定が迫っていますが、医師の森田洋之さんは「医師は医療の量を自分で決められる上、必要以上の医療でも健康保険で支払われる。こうしたモラルハザードが医療を儲けさせている。『医師の儲けすぎ』は改善すべきだ」と言っています。

現代の日本の医療制度では、皆保険制度により、医療行為の対価(診療報酬)は国が決めていて、医療機関は自由に決めることは出来ない仕組みになっています。

その上で、現在の医療費の高騰は異常で、介護保険を合わせると約60兆円となっています。

ですから、国はこの診療報酬を出来るだけ下げて行こうとしているわけですが、日本の医療費が下がらないのには大きく二つの理由があります。

一つは「情報と権力の非対称性」と、もう一つが「モラルハザード」です。

「情報と権力の非対称性」とは、医師と患者側で持っている医療情報に差があることで、入院や外来受信頻度、投薬量を決めるのは、多くが「医師の側」です。

つまり、医療というサービス商品は、どれだけ売るか、を売る側が決めている商品ということです。一般的な商品なら、いくら売り手に勧められても、価格が高ければ、消費者は躊躇するのが普通です。ところが、医療においては健康保険という大きな補助があるので、特に高齢者の場合、自己負担が1割しかないので、この考えが働かなくなってしまっています。

そこで、医師は検査や受診回数等で、医療サービス量をいくらでも提供して儲けることが出来てしまうのです。これが、日本の医療が陥っている「モラルハザード」になります。

なお、この問題は、若年層の急病やケガなどの「急性期医療」では比較的生じにくいです。

しかし、今の日本で行われている医療の大半は、高齢者を対象とした「慢性期医療」です。

既にエビデンスを無視して問題になっていますが、血圧・糖尿・コレステロールの管理が本当にそこまで必要なのか疑問で、現状、多くの患者がこれを理由に毎月受診するよう指示されています。これぞまさに「サブスク医療」で、「売りたい放題」の世界観が出来上がっているのです。例えれば、豪華なフランス料理を提供し、その来店頻度までフランス料理店が決めて、売りたい放題売っていい、が現実なのです。

世界から日本の医療を見れば、日本人の外来受診数と入院数は欧米の3〜5倍と異常なのです。

ですから、森田医師は「医療は公的事業であるべき」と主張していて、自身の医院の毎月の診療報酬をSNSで公開しています。

日本では、医院や病院が経営のために診療報酬の一部を使って、広告を使って患者を集めるという異常な行動もあります。

さらに、医師会や医療業界は「マイナスの診療報酬改定では医療機関は潰れる」と批判しています。しかし、医療サービスが過剰な日本では、破綻した夕張市の例でも分かるように、少し医療機関が潰れた方が、寿命が伸びるでしょう。他科の無駄な薬を減らせず、多剤投与を許している現状を打破すべく、大ナタを振って医療改革をして欲しいと思っています。

 

(参)プレジデント「診療報酬の引き下げ」では効果がない

[コラム/ブログ]2023.12.27